ニューテンの部屋

政治経済関係の本の内容紹介とその勝手な独り言など書いています。

売国奴に告ぐ!

売国奴に告ぐ! いま日本に迫る危機の正体売国奴に告ぐ! いま日本に迫る危機の正体
(2012/02/29)
三橋貴明、中野剛志 他

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はじめに~デフレ悪化を推進する人たち 三橋貴明

第一章 「改革」の名で日本を滅亡に導く人たち
第二章 恐慌化する世界経済と日本の行方
第三章 日本に蔓延する構造改革と新自由主義
第四章 この国に巣食う「国を売る」人々
第五章 売国ドクトリンから日本を救え

おわりに~売国奴の正体 中野剛志


という構成で書かれており、2人の対談形式の話し言葉のせいか、読みやすい文章になっていました。

主に構造改革を推進して新自由主義が蔓延してしまった日本が危ないという話です。

いまだに「日本は内向きすぎるから、グローバル化しないといけないんだよ」
「構造改革が足りないからダメなんだよ」
という馬鹿がいる…と嘆いています。
デフレというのは、新自由主義では成り立たない、説明できないそうで、今の日本はどうしたらいいか、処方箋を間違えている人が多くなってしまいました。
宮沢喜一首相や村山首相の時まではデフレだから財政出動だと正しいことをやっていたものの、彼らが引退するとあの人らはもう古い、となってやらなくなってしまったそうです。
経済学者たちが戦争中も戦後も経験していない、苦労知らずでアメリカで経済学を学んだような人が増えたというのもあるんでしょう。

それから、世間の間違った認識のひとつに、
○日本は官主導だ。
○官僚は改革を嫌がる。…実は官僚は改革が大好きだということ。
○日本は閉鎖的だ。


自信満々で元気のいい人、若くてやる気満々の人、たとえばかつてのホリエモンさんみたいな人が、この日本で大もうけして成功したいと思うならば、弱肉強食の世界で、勝ち抜く自信もあるでしょうから、自己責任で自由に伸び伸びとやりたかったことでしょう。でも私はそんな自信もないし、そんな社会は好きじゃないですね。個人レベルの話ですけれど、そんな殺伐とした、ぎすぎすした競争社会には住みたくないと思いますね。

TPP推進派が言うほど、日本の農業は今まで守られていてそんなにおいしい商売だったのか、だったら、もっとやる人が増えていたはず。食糧自給率が低い日本がアメリカから安い米、野菜を買って、急に絶たれたら、たいへんなことになるのはわかりきっていることです、と。

官僚はもともと改革好きだというのはちょっと驚きでした。中野さんはその中に居てそう感じたようです。
官僚やめた古賀さんも改革好き、彼のような人が多いとか。

三橋さんの提案は50年前作った日本中の道路や橋のインフラが古くなり、今はメンテナンス期にあり、政府はこれをやるべきだと言っています。国債発行でお金を借りて財政出動すれば、それでいいのです。もちろん東日本大震災の復興にも使います。あわせて金融緩和が必要だそうで、政府の国債を日銀が買い取ると日銀は円を刷ってその資金に当てて、市中に円が大量に注ぎ込まれ、デフレから脱却する、と言います。

マスコミや新自由主義を信望してきた学者さんたちは、構造改革、新自由主義、そこに良い点と悪い点があり、決して夢のようなばら色の政策ではないと考えて欲しいものです。一度唱えた言説を撤回するのは沽券に関わる、と学者先生はなかなか失敗を認めないようですが、そういう頑固さが間違った方向へ日本を導いてしまうのではないですか。勝った負けたでなく一緒に考え直す時が来ているのではないでしょうか。

ギリシャの選挙結果で、反緊縮派が負けてしまいました。緊縮財政の政策が続けられるという結果になってしまいました。この先もいばらの道のギリシャです。

私はこの本のお2人の政策が素晴らしい、と手放しに賞賛するとかの判断はできません。政治経済に正解の道なんてあるのでしょうか。経済学者はもっともらしいことを仰いますし、それなりに納得できるのですが、実態の経済や世界はそうなっていくのか、難しいと思えるからです。
でも、この話は今は納得できますし、このような方向に一度日本は舵を切ったほうがいいのではないか、やってもらってもいいとは思うのですが。




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  1. 2012/06/18(月) 18:07:50|
  2. 新自由主義・市場原理主義
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おーい、でてこい

星新一ショートショート

おーい でてこーい


東京新聞の筆洗で以前紹介されていた星新一ショートショートの「おーい、でてこーい」です。
どんな話か知りたかったので、探したらありました。
私の読解力が不足していて、最初はよくわかりませんでしたが、やっとわかり、ぞくっとしました。

神社の鳥居と社があった場所に深い穴があることがわかり、その穴の深さもわからないから、人が「おーい、でてこーい」と声をかける。返事はない。次に石を放り込む。底に落ちた音もしない。深いならば、都合がいい、とばかりに核廃棄物を捨てる商売人。その穴を埋め閉じて、すっかり忘れた頃、その深い穴の正体が明らかに。空の上から、以前かけた言葉「おーい、でてこーい」の声、つづいて、石が落ちてくる。そして次に落ちてくるものは…!!ここで話は終わり。

そうです。次に落ちてくるものは前に捨てた核廃棄物のはず。あの穴は天につながっていたってわけですか。そこにはすでにビルが立ち並んでいて、町になっています。そのあとの混乱を想像できるでしょうか。

星新一さんがこの話を書かれたのはたぶん1960代~70年代のはず、日本の原発は70年代から主にスタートしたので、その前から核廃棄物の処理方法についての深い洞察力がわかります。

フィンランドで作られた核廃棄物の最終処分場も10万年間、誰も来ないようにするのに、理解させられるだろうか、という問題があると聞いています。鋼鉄製の入れ物に入れ、深く深く埋めて、人が近づかないようにと注意書きしたところで何万年後の人間に同じ言葉ではわからないはずだから、逆になにか財宝なのか、と思って掘り起こされる危険もあるわけです。

核の廃棄物最終処分場は今はフィンランドとスウェーデンのみメドをたてて決めているようですが、他の国はまだ決まっていないんですね。それなのに、3.11の前までは、世界中、原子力発電所をもっと増やそうとしていたわけです。
…これがおろかな人間世界というわけです。
そのつけは天からふってくるのではないですか。

  1. 2012/06/05(火) 18:22:41|
  2. 原子力
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