「戦後史の正体」

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)
(2012/07/24)
孫崎 享

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孫崎享著 元外務官僚 国際情報局長
すでにベストセラーの本。高校生にもわかるように、と書かれたそうなので、読みやすい文章だった。
終戦後の日本の状況が詳しく書かれている。
1945年9月2日に降伏の調印をし、その時アメリカは3つの布告をする寸前だったそうだ。なんとなくこの話は聞いたことがあったが、
1、公用語は英語に。2、米軍による違反は軍事裁判で処分。3、通貨は米軍の軍票。
という、今思えば恐ろしいものだ。
日本がこうならなくてすんだのは、重光葵さんのおかげだった。まず岡崎氏に夜中に折衝に行かせ、翌日マッカーサーと重光氏が会見し、この布告が取りやめになった。米軍の軍政を日本にひくことはポツダム宣言と違ってくる…と素晴らしい折衝をしたと言う。

しかし全体としての戦後の日本は、報道機関は米国にすり寄ったし、吉田茂首相はまさにそうだった。

日本占領は史上まれに見る『寛大な占領』だったと言われたが、私もそう思っていたのだが、実はそうではなかったのだなと知った。
ずっと米国は好きなだけ軍隊を日本の望む場所に駐留できる、という方針を今まで続けてきて、今もその姿勢は変えないのは、日本の真の独立を認めないという証拠なのか。

とはいえ、一貫して言えるのは、米国は一枚岩ではなく、その時その時でころりと変わることがあるという。
将棋のゲームの中で米国が「王」で、日本が「歩」になったり、ときには「銀」になったりと状況によって変わるのがアメリカの戦略だと認識した。
たとえば、終戦直後、米国は”日本の生活水準は侵略した国よりも高くしないように”と決めていたのだが、占領経費が高くつき、アメリカの物資不足に陥ったので、日本で大量生産させることにした。さらにソ連とアメリカの対立が起き、日本をその防波堤としたいという方針に変わったので、日本の経済を立て直すことが許された、というか、経済力をつけさせた、という感じなのだ。そして時がたち、冷戦が終わるとまた日本への戦略を変え、経済力を削ぐように動いているのが今なのだろうと思う。

歴代の総理の動向を順に見ていくと短命政権に終わった総理ほど、実は対米自立を目指した、米に物申すことができた人たちだった。長くいられた総理ほど、対米追随路線であったことが歴代の総理などを例にして実証している。

日本の戦後史のこのような米国との力関係、いや、米国の支配下、コントロール下にある状態のまま、というとあまりにもだが、ずっと同じなのだ、と認識できた。しかしおとなしくずっと対米追随路線で来たわけではなく、たくさんの政治家が果敢に自立を目指したことが詳しく書かれており、その苦労が忍ばれる。

例えば、私が驚いたのは、歴代の総理の認識はたとえばあまり評判が良くなかった鈴木善幸氏は実は志の高い人だったこと。親米と思っていた岸伸介氏も意外にがんばったことや、これまた親米派と思っていた宮沢喜一氏は行政協定のひどさに気がつき、「独立する意味がないにひとしい」と言ったらしく、抵抗をしたことがわかった。
逆に吉田茂という米国に対等に渡り合ったという豪快なイメージの総理が、米の命令に従っていただけだったとか、今までのイメージや認識は塗り替えられた。

戦後は報道関係や経済界に対米追随の勢力が作られた。親米路線がひかれた。そのため自立を目指そうとする人物が現れると、その足をひっぱるように動くのは同じ日本人である。今の日本の状態を見てもそれがよくわかる。
67年もたって、この頑強に作られた姿勢が固まってしまったかのようだが、そろそろ気が付く人たちが増えてきたのだと思う。

この本を政治家を自主独立派と対米追随派に分けるだけの陰謀論にすぎないと一笑に付す人もいるかもしれないが、筆者の想像や思い込みからでなく、丹念な過去の文書からの引用による根拠がしめされており、説得力があると思う。
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2008年9月リーマンショックの金融危機から日本の政治経済に目覚めた普通の主婦です。今までB層とバカにされていたと気がつきました。

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