「規制緩和という悪夢」を読んで

規制緩和という悪夢 (文春文庫)規制緩和という悪夢 (文春文庫)
(2002/01)
内橋 克人グループ2001

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結局、どんなことにも、良い面と悪い面があることを知りつつ、改革していかねばならないのだと思うが、これもやってみなけりゃわからない,ということだったのか?

これは1994年くらいから文芸春秋にて連載されていた記事をまとめた文庫本で、今から14年も前に書かれたことだが、当時、規制緩和の大合唱中だったが、それに警鐘を鳴らしていたということがわかる。

すでにアメリカでは80年代に実験済みでわかっていたからこそ、あえて反対の論を出した。 
グループ2001はアメリカの実態を調べてみた。
規制緩和によって、得られるメリットは
新しい産業が生まれる。ビジネスチャンスが与えられる。
よって、雇用も拡大し、消費者には多用な商品・サービスが広がる。
と言う話だったが、

新産業は生まれたか?…たとえば航空業は2,3年で増えたが、元々あった大手の路線の多さのマイレージポイントの効用などで消費者は流れ、新規会社は結果つぶれて、前の会社数よりも減ってしまった。

雇用は増えたか?…正社員が減り、終身雇用制度が終わり、アルバイトや契約社員として新産業に少し吸収されたが、低賃金になった。つまり個人の所得は減った。失業率も上がった。(2002年5.4%に)

物価は安くなったか?…最初はたとえば航空チケットは一時的に競争で安くなったが、条件により割引制度が細かく設定されて(早い時期に買うすると安いが、日にちが近くなるにつれて高くなる設定など)全体として上がってしまった。

サービスが向上したか?…航空業で低料金競争になると、削られていくのがサービス、機内食の質の低下や人件費削減のため、各人労働時間の超過、派遣労働の乗務員の増加、安全面がおろそかになるなどむしろ低下した。

新規産業が入りやすくなり活発化したか?…酒類販売の許可が広がって、もともとある小売業と大手スーパーなどの競争の場合、スーパーは大量購入でたとえば、ビールなど安く出来る。小売も共同購入することで対抗して同じくらいにすることができたが、チラシもいれられず、それでもぎりぎりなので、なかなか儲けることはできなくなった。小型店はつぶれて大型店のみ残った。

それまでの日本型の資本主義は全員が痛みを分かち合う社会で、物価が高かった。しかし2%の失業率で、規制があったからこその物価高だった。
(1980年に日本2%、欧米は6%以上だったので水準高かった。)



当時、「活力ある自由な社会にはなるけれど、中流の脱落、日本的美意識を捨て去ることになる」と規制緩和論者も言っていたそうである。
日本の改革をすすめた平岩委員会、経済学者などばかりを集めたことのあやうさを指摘している。
もっと色んな業種の人、立場の人が入って考えるべきだったと。


私個人の話でいえば、酒類販売については大型店舗のほうが断然安いので小売店では買えなくなった。
近所の小売のお店のおじさんには悪いなと思うのけど…。
小売の商店街の人に、若い頃、相手にされずに買い物に苦労したことがあったので、
だまってレジで買えるスーパーの方が好きだったのも確かである。
その地元の八百屋さんは商店街一安かったので混んでいたけれど、品質の悪いものを売りつけたりしてたのだ!
最近では、古い自転車販売店がなくなり、規制撤廃したのか、今までよりサービスのいい、安くて新しい店が増えたのを喜んでいたし、
郵便局の職員は昔は威張って感じ悪かったが、今は前よりも良くなったのを喜んでいたし、
規制によって守られていた人のおごり、怠慢、が正されたことは評価したいと思う。
だから決して昔のままでよかったのだ、とは思わない。
良くなった面もある。
お役所の昔の態度は本当によくなかったし、
国鉄の職員、私の子供の頃はひどかったし、怖かったし、荒れていた。
けれど、JRになってからは本当に良くなったと思った。
だから、民営化もいいなと思ったのだった。

それによって、運悪く失業した人は転職し、新しい場所で頑張ってくださいという自己責任問題になっていたけど、結局、よく考えると、元々あまり力のない人を追い込んだだけで、もっと大金持ちの人にはひびかない、痛くもなかった、いやむしろ儲かったんだろう。格差がひろがったんだから。
まさか、残った企業の中身が悪くなってしまい、品質やサービスや人心まで悪くなったりするとは思いもよらなかった。コスト競争による弊害というものなのだな。
こうして考えると、
規制されて守られてた人、セーフティネットに入ってぬくぬくしてた人たちも一部は腐敗したし、
規制緩和によって競争に明け暮れ、生き残る為に頑張りすぎた人は心が荒廃したりする。
競争に負けた人は、貧困に苦しみ、犯罪に走る人も増える。
どちらに振れても、天国はないのか。
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2008年9月リーマンショックの金融危機から日本の政治経済に目覚めた普通の主婦です。今までB層とバカにされていたと気がつきました。

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