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「日本二六〇〇年史」を読んで


「日本2600年史」


読んで、とてもよくわかり、面白かった。文体が古いので、かなり読みにくいものの、変な偏りのない歴史の記述という感じがした。

著者は大川周明、戦前の日本に影響を与えた思想家だそうで、昭和14年に書かれた本である。
当時、ベストセラーになったが、軍部や右翼から「国体違反」「不敬」と批判が浴びせられ、削除、訂正をさせられて、発行し、その後GHQがこの本を追放したそうだ。

不敬として消された部分は主に、天皇家を普通の人間として書かれたような表現のようだ。
たとえば、

大化の改新の頃の皇室について

「最高族長たる点に於いてはもとより特異なる地位を国家に於いて有していたが、その一氏族であるという点においては、ほかの諸族と同じく私領を有し、かつその私領の増加に腐心し、のちには皇室と人民とが権利を競うの状態に陥った。」

天皇はその地位はたくさんの豪族の中からの一つの強い勢力として出てきた人たちであること。
また一般人と同じように領地を争ったりしたことは人間臭くて神格化のさまたげになるからだろう。

時代によって政治の表舞台であったり、院政だったり、あるいは室町時代など貧窮していたころもあり、民間に助けてもらったような記述が消されている。(天皇直筆の文書を書いてそれを渡してお礼の品をもらっていたこと。)

万世一世の理想、国造りの話で空からやってきた、のような話を真実性をもたせるために消したのだろう。
天皇を利用して軍国主義をやっていこうとする人たちにとってまずい表現になるのだろう。

大川氏は日本の天皇は家族の父母のようなもので、部族の長、共同生活体としての自然発生的なもので、発展して国家の君主となったものであると学者として述べていたのだ。

室町時代の足利尊氏はたいへん立派な武士であったとあり、そこがばっさり消されていたのは何故、と思ったが、彼が後醍醐天皇に抗ったからであろう。

明治維新について、

「フランス革命はナポレオン の専制によって成った。ロシア革命はレーニン、およびスターリンの専制によって成りつつある。而して明治維新は実にその専制者を明治天皇の専制に於いて得た。」
ここが削除。
明治維新も美化されずに書かれており、明治天皇が政府(幕府)転覆したと言っている。
薩長史観でないところがいい。

昭和14年の出版なので、日露戦争までの話で終わっているが、第2次世界大戦後、著者は、A級戦犯として捕まるのだが、保釈された。
戦前の日本のベストセラーになったわけで、日本人はアジアの中で優秀で素晴らしい、という論調もあり、右翼の喜ぶところも多いものの、天皇家について、古代の日本人について、インド伝来の仏教や中国からの優れた文化を取り入れたことなど真正直に書きすぎていたので戦前の軍部にとって、日本国、天皇家の神格化にはマイナスだと思ったのだろう。
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2008年9月リーマンショックの金融危機から日本の政治経済に目覚めた普通の主婦です。今までB層とバカにされていたと気がつきました。

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